NIMSら,8K向け広色域緑色蛍光体を開発

物質・材料研究機構 (NIMS)と,シャープの研究チームは,8Kテレビに適した白色発光ダイオード (LED) の試作に成功した(ニュースリリース)。

東京オリンピックの年 (2020年) に,解像度と色再現域を広げた8Kテレビの普及が計画され,BT.2020規格として制定されている。これは,従来のNTSC規格に対して,色空間の面積比で134% (CIE1976座標上) もの広い色域を有するが,実現するには発色のよい光源が必要であり,現行のバックライト技術では対応できない。

液晶ディスプレーは,LEDバックライトが放つ白色光を色フィルターで三原色に分解して画像を表示する装置であり,色再現性の向上にはバックライトに含まれる赤,緑,青の3原色の色成分の色純度を向上させる必要がある。

現状のバックライトでは赤色や青色成分の色純度と比べて,特に緑色成分の発色が悪く問題となっていた。すなわち,バックライトの色再現性を向上させるには,色域拡大に対応した緑色蛍光体の開発が望まれていた。

γAlON (ガンマアロン)は,アルミニウムと酸素と窒素を主成分とするセラミックスで,透明材料として用いられている。NIMSでは,γAlON結晶にマグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)を添加して組成を調整することにより,LED用の緑色蛍光体となることを見いだした。

γAlON蛍光体は,青色LEDの青色光を,525nm,スペクトルの半値幅が40nmのシャープな緑色光に変換する。525nmは色度図の頂点に近い純粋な緑色なため,より自然界の色の発色範囲の拡大が可能となる。一方,従来緑色として使われていたβサイアロン蛍光体は540nmがピーク波長であり,γAlONと比べると黄色がかっている。

今回,シャープと試作したLEDバックライトでγAlON緑色蛍光体を用いたところ,BT.2020規格の色再現域の90%を達成することができた。

色域拡大の方式として,カドミウムを用いた量子ドットやレーザーバックライトが提案されているが,量子ドットは環境負荷の点で好ましくなく,レーザーバックライトはコストの問題がある。この技術では有害な元素を用いずに色再現域に対応でき,現行のバックライトの白色LED部品だけを置き換える技術であり,コスト面と安全面で優れているという。

今後は,材料特性の改良による明るさ改善と低コスト化を進めた後に液晶テレビに組み込んで色再現性の調整を行ない,2018年の8K実用放送開始に向け,8Kテレビのバックライトに適した白色LEDの実用化を目指すとしている。

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