情報通信研究機構(NICT)と参画プロジェクトは,従来の25Gb/s映像配信の約4倍超となる109Gb/sの8K非圧縮映像を分割して,複数の100Gb/s回線を併用し,伝送することに,世界で初めて成功した(ニュースリリース)。
同時に,立体音響再現のため,ハイレゾ音声を収録(192kHzサンプリング,24bit,16ch),遠隔地への伝送を行ない,8K映像と音声を合わせた高臨場感環境を表現した。
映像配信を行なう際,これまでは1回線当たり利用可能な回線帯域が,映像品質を決める際の制約となっていた。この実験の成功により,分割したストリームを回線ごとに柔軟に割当てができることで,複数回線を組み合わさなければ十分な帯域が確保できないような映像撮影,中継環境においても,より高画質な映像配信が実現できることを示した。
実験は,JGN上で運用中のネットワーク仮想化技術と合わせて,国立情報学研究所(NII)が構築・運用するSINET5上で今回,実験的に提供するL2オンデマンドサービスの双方を利用し,途中の中継経路を細やかに設定することで,遅延時間のコントロールが可能となった。
今回の実験は,ネットワークテストベッドJGNを実験基盤として,多数の企業,大学や地域団体が,研究開発中の技術や製品プロトタイプ,運用技術を持ち寄り連携することにより実現した。
この実験で実証された各種技術は,2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会で想定される地域のライブ中継会場とメディアセンター間での8K/4Kインターネット高画質映像伝送といった場面において,1本の回線では十分な帯域が確保できないような環境でも,複数本の回線を併用することによって,配信映像の高画質化が期待されるものだとしている。