日立ハイテクノロジーズとフィンランド Picosun Oy(ピコサン社)は1月30日,プラズマを利用した原子層堆積(Plasma-Enhanced Atomic Layer Deposition,PE-ALD)装置の共同開発について発表した(ニュースリリース)。
この装置に搭載予定の共同開発によるマイクロ波ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマを用いたALD技術は,半導体デバイス製造時の成膜工程にて,微細化や三次元構造への対応を実現し,革新をもたらすものだとしている。
半導体デバイスの技術革新は急激なスピードで進み,微細化や三次元構造化など,さまざまな先端技術が日々進化を遂げている。それに伴い,半導体製造プロセスの一環である成膜工程の技術も進化し,近年はアスペクト比が高い構造体などへの成膜が得意なALDの活用が進んでいる。しかし従来のALDでは,膜質劣化の懸念から成膜工程の低温化が制限されていた。
両社が共同開発中のPE-ALD装置は,日立ハイテクのマイクロ波ECRプラズマ技術とピコサン社のALD技術という,双方が長年培ってきた技術を組み合わせることで,プラズマによる成膜反応を促進させ,既存のPE-ALD装置よりも低温にて高品質の膜を生成することができる。低温で高品質成膜が可能となったことで,今後の多機能化・微細化・三次元構造化・薄膜化に対して有力なソリューションとなるとしている。
現在,複数の膜種について評価中であり,窒化膜や酸化膜などの膜については,300mmウエハを用いて優れた膜質を確認しているという。