日立製作所とワイエイシイ(YAC)は1月20日,日立の子会社である日立茨城テクニカルサービスのイオンビーム応用装置製造事業を,2017年2月1日付でYACに譲渡することで合意したと発表した(ニュースリリース)。
日立は,加速器や核融合のプラズマ加熱に必要な中性粒子入射装置の開発を手掛けており,この核融合技術の中から生まれた高精度の微細加工に適した独自のバケット型イオン源技術を用いて,薄膜磁気ヘッドなどの微細加工を行なうイオンビーム応用装置製造事業を展開している。主力製品であるイオンビームミリング装置は,微細加工を行なうドライエッチング装置で,低エネルギーでも大電流のイオンビームが発生でき,かつイオンビームに均一性があり発散が少ないといった特長を持っている。
このため,金,白金,銅をはじめ金属や磁性体,酸化物など特殊材の微細加工などに適しており,MEMSやセンサー,パワーデバイス,高周波デバイス,光デバイスなどの製造にとって重要な装置となっている。
今回,日立は,イオンビーム応用装置製造事業の拡大と,コア技術を活用したさらなる事業の発展を目的に,同事業をYACに譲渡する。YACは,1973年の創業以来,産業用エレクトロニクス関連事業を中心に展開しており,中でもプラズマやレーザーを用いたディスプレー,半導体関連などの装置の製造,販売は,主力事業の一つとなっている。
今回の事業譲渡によりYACは,イオンビームミリング装置の更なる進化と,自社のコア技術であるプラズマエッチング技術,レーザーエッチング技術とのシナジー効果を図り,さらなる事業発展をめざす。
なお,イオンビーム応用装置の販売とサービスについては,引き続き,日立ハイテクソリューションズなどが担当する。また,同事業譲渡による日立,YACそれぞれの本年度の業績に対する影響は軽微だとしている。