NTT-ATら,KTNによるウエハ厚み計測用波長掃引光源を開発

浜松ホトニクスとエヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(NTT-AT),および日本電信電話(NTT)は,タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)光スキャナーを応用した,発振波長を時間とともに周期的に変化させる高安定な波長掃引光源を新たに開発した(ニュースリリース)。

今後の市場の拡大が予想されるパワーデバイス用シリコンウエハの厚み計測装置用途に,4月から浜松ホトニクスとNTT-ATの両社が国内の厚み計測装置メーカーに向けてサンプル出荷を開始する。

この開発品は,入射してきた光の進む方向を電圧で高速に制御できるKTN光スキャナーを応用して,光共振器内の回折格子に入射する光の角度を制御して時間とともに発振波長を周期的に変化させる,パワーデバイス用シリコンウエハの厚み計測装置に適した波長掃引光源。

3社は,NTTが開発したKTN光スキャナーを応用し,主に生体組織表層の高精細な断層像を撮影する光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)に用いる波長掃引光源の開発,販売において連携してきた。今回,産業分野へ応用を広げ,パワーデバイス用シリコンウエハの製造現場で使用される厚み計測装置向けの波長掃引光源を開発した。

パワーデバイス用シリコンウエハは,一般的に厚さ100マイクロメートル程度まで高速で研磨するため,高精度な厚み計測装置に使用可能な高安定光源が求められていた。現在主流のOCTに使われている波長掃引光源は,ミラーを機械的に動かして波長を周期的に変えるため,装置の振動の影響を受けやすいという問題があった。

開発品は,入射してきた光の進む方向を電圧で高速に制御できるKTN光スキャナーを用いることで機械的な可動部がなく,振動の影響を抑えられるため,長時間の安定的な連続動作が可能。また,材料の見直しおよび温度制御方法の改良により,光源周囲の温度変化による計測結果への影響を低減し,高い計測結果の再現性を実現している。

さらに,KTN結晶に青色LEDを照射すると,KTN光スキャナーの動作が短時間で安定するという性質を利用して,波長掃引光源が安定動作するまでの立ち上がり時間を短縮し,製造現場での使用を可能とした。また,光源の中心波長を,他の波長と比較して不純物に吸収されにくい1.3µmとすることで,不純物濃度が高いパワーデバイス用シリコンウエハの厚みを高精度に計測できるという。

なお,開発品の構成部品である半導体光増幅器は,NTTグループであるNTTエレクトロニクスが開発した。これは,中心波長1.3µmで,気密封止に工夫をして信頼性を高めたもの。

今後は,動作の高速化,発振波長範囲の拡大などの高性能化を図り,医療,産業などさらに幅広い分野への応用を進めていく。また,2018年1月から海外に向けてもサンプル出荷を開始する予定。

キーワード:

関連記事

  • 今回開発した“トップエミッション型” 深紫外LEDの模式図

    NICT、トップエミッション型の深紫外LEDを開発 従来構造比で電力変換効率35%向上

    情報通信研究機構(NICT)は、LEDチップを上面から光を取り出す「トップエミッション型」の深紫外LEDを開発した。電極と光取り出し部に独自の素子構造を設け、従来構造の深紫外LEDより約35%高い電力変換効率を実証した(…

    2026.10.28
  • 核融合・光電融合・量子・宇宙、次世代成長市場の技術が集結 Photonics Innovation 2026開催

    次世代エネルギーとして期待される核融合、AIインフラの進化を支える光電融合、実用化に向けた開発が進む量子コンピューター、そして民間企業の参入が相次ぐ宇宙ビジネス。いずれも将来の成長市場として投資家の関心を集める分野であり…

    2026.10.28
  • 「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」プロジェクトの対象技術と課題

    東北大、半導体3D集積の産学連携組織「T-CHIPS」発足 光チップの異種集積も視野

    東北大学は、半導体先端パッケージングと異種チップ集積技術の研究開発を推進するコンソーシアム「T-CHIPS」が発足したと発表した(ニュースリリース)。プロセッサーやメモリ、シリコンフォトニクスチップなど、異なる機能を持つ…

    2026.10.21
  • トルンプの2025/26年度年次報告書「semicon」の表紙

    トルンプ、2025年度のEUV事業は9.2%増 レーザー事業は減収

    ドイツのレーザー加工機大手TRUMPF(トルンプ)は、2026年6月30日に終了した2025/26年度の業績を発表した。グループ全体の売上高は前年度比0.2%増の43億4,000万ユーロとほぼ横ばいだったものの、受注高は…

    2026.10.16
  • 日立ハイテクとZEISS、高NA-EUV量産を支える電子線検査装置の開発を加速

     日立ハイテクとドイツの ZEISS社は、高NA-EUVの量産を支える検査装置として、次世代マルチビーム電子線検査装置の共同開発を加速させると発表した。(ニュースリリース)  半導体製造工程では、高品質なデバイス製造のた…

    2026.10.01

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア