富士キメラ総研は,燃費向上に向けた小型軽量化や先端技術の採用が進む自動車部品の世界市場を調査・分析し,その結果を報告書「2016 ワールドワイド自動車部品マーケティング便覧」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書ではエンジン系部品15品目,駆動/足回り系部品5品目,内装系部品9品目,外装系部品8品目,合計37品目の市場動向に加えて採用材料や採用技術,近年電動化や電子制御化などにより変動しているサプライチェーン動向や自動車部品関連メーカー事例などを捉え,自動車部品市場の将来展望を明らかにしている。
それによると,自動車の生産台数は新興国で好調である一方,先進国は横ばいとなっている。しかし欧米や中国を中心に強化されている環境規制などを背景に,車体の軽量化,自動車部品の電動化や電子制御化による燃費向上など,高付加価値化が図られている。
その結果,2025年市場予測は,自動車部品全体では,エンジン系,駆動/足回り系部品が拡大をけん引し,44兆5,658億円(2015年比13.9%増)となる。また,注目市場として電子ミラーを挙げており,その市場は2017年より立ち上がり拡大し,2025年には16億円になるとしている。
ここでの電子ミラーは,車載カメラで撮像した車両周辺の映像をコックピット内のモニターに表示するシステム。電子ミラーは2015年時点では量産車への採用実績はないが,2017年より採用がはじまり本格的に市場が立ち上がるとみられ,以降拡大していくと予想する。
先進的な走行技術の採用に積極的な欧州で先行して市場が拡大し,米国,日本でも普及が進むとみる。普及のための課題としては運転時に常時作動させる必要があることからバッテリー容量の向上が求められるという。その他にも映像の遅延の改善,故障時のフェイルセーフ,高フレームレート化などが挙げられるとした。