兵庫県立大学と東京大学,桐蔭横浜大学は共同研究により,ペロブスカイト太陽電池の耐久性の実験を重ね,世界で初めて摂氏100度で2,600時間もの耐久性を実証した(ニュースリリース)。
未来の人類の新エネルギーとして実用化が期待されている有機無機ハイブリッド CH3NH3PbI3ペロ ブスカイト結晶太陽電池であるが、その耐久性に関しては非常に問題がある。
研究グループは,ペロブスカイト太陽電池における耐久性におけるカーボン電極の役割を検証し,カーボン電極とペロブスカイト層が強固に相互作用して結合していることを,特にカーボンと鉛,およびカーボンとヨウ素が強く影響していることをXPSおよびXRDによる測定により見出した。
さらに,カーボン電極を使用したCH3NH3PbI3ペロブスカイト太陽電池が100℃の高温下での熱耐久性試験を行なった。そのときには,太陽電池内部の封止材の位置は発電部位の外側のみに存在すること(side sealing)が重要であり,封止材が発電部位(ペロブスカイト結晶)の上側を覆っている場合(over sealing)には熱劣化が進むことが判明した。
その,over sealingの場合の熱劣化による光電特性は,30時間程度で安定状態に達するが,封止無し(naked)では徐々に直線的に劣化していくことが判明した。これは,ペロブスカイト太陽電池デバイスの劣化モードが外気と反応しているか,もしくは封止材と反応していることによる違いと考えられるとしている。
さらに,暗所のもと封止材有りで2500時間以上の耐久性を示すことを確認した。今後は,ペロブスカイト太陽電池の実用化を目指して,このような環境高耐久型ペロブスカイト太陽電池の開発が加速するものと考えられるとしている。