パナソニック液晶ディスプレイは,従来型液晶の600倍のコントラストである100万対1以上を実現する新型IPS液晶パネルを開発した(ニュースリリース)。2017年1月のサンプル出荷開始を予定する。
従来の液晶パネルはコントラストが1,800対1程度のため,輝度を高めるためにバックライト光量を増やすと暗部で黒浮きが発生し,暗部を見えやすくするためにバックライトを減光すると明所の煌きが損なわれるという課題があった。
開発品は,液晶の動作原理を活用した新開発の調光セルを表示セルに内蔵することで,バックライトから表示セルに入射する光の量を画素単位で制御することが可能となり,コントラスト100万対1を実現した。
調光セルには,表示セルで使用される液晶材料とは光透過特性が異なる液晶材料を使用,表示セルと調光セルはそれぞれ独立制御する構造とした。これにより,光漏れが大幅に抑制され,きめ細かな階調表現が可能となる。
さらに産業用途で培ってきた同社のIPS液晶技術の応用により,広視野角かつ高い光利用効率の特長はそのままに,コントラスト100万対1(最大輝度1,000cd/m²,最小輝度0.001cd/m²)を実現することが可能になった。
開発品は従来から使用されている装置を用いて製造することができる。同社は,業界最大クラスの第8.5世代(G8.5)製造ラインを保有しており,10~100インチまでの展開が可能。そのため,多様な用途に適した画面サイズのパネルを提供できる。
これにより,放送局や映像制作スタジオで使用されるプロ向けの,HDR対応ディスプレイを提供することが可能になる。また,忠実な映像表示が求められる医療モニター用途や,黒浮きがなく明瞭な視認性が求められる車載用モニターなどに適しているとしている。