理研ら,植物の青色光応答の初期過程を解明

理化学研究所(理研)と米カリフォルニア大学ロサンゼルス校,韓国全南大学校の国際共同研究グループは,植物の細胞核内に存在する青色光受容体のクリプトクロムが青色光を受容すると「二量体化」することで活性化されること,BIC1タンパク質がクリプトクロムの青色光依存的二量体化を阻害することによりクリプトクロムの活性を調節していることを明らかにした(ニュースリリース)。

植物にとって光は,光合成によるエネルギー源となるだけでなく,周囲の光環境を知るための情報源としても重要な役割を担っている。植物は情報としての光を感知するために,いくつかの光受容体を進化させてきた。

中でもクリプトクロムは,脱黄化(植物を暗所で育てると起きる反応),花芽形成,避陰反応(光のある方向に成長しようとるす反応)など数多くの植物の青色光応答を制御する重要な光受容体。

クリプトクロムは青色光を受容して活性化されると,さまざまな遺伝子の発現を調節して植物の青色光応答を誘導する。しかし,青色光によるクリプトクロムの活性化の分子機構はほとんど明らかになっていなかった。

さらに,クリプトクロムの脱感作(植物に光などの刺激を与え続けることで,初めにあった反応がなくなること)機構に関しても,一部のクリプトクロム分子種が青色光を受容すると分解されることが知られているのみで,全ての分子種に共通する機構は見つかっていなかった。

共同研究グループは,クリプトクロムの新たな脱感作機構を明らかにするために,シロイヌナズナの完全長cDNA高発現系統「ナズナFOXライン」を用いて,青色光応答が低下した変異体のスクリーニングを行なった。

その結果,クリプトクロム情報伝達に抑制的に働く「BIC1 (Blue light Inhibitor of Cryptochrome 1)遺伝子」を発見した。また,BIC1はクリプトクロムと結合し,クリプトクロムのリン酸化やクリプトクロムが制御する種々の遺伝子発現制御など,クリプトクロムの情報伝達に関わる反応を全て阻害した。

また,クリプトクロムが青色光に応じて,二量体を形成することが明らかになった。さらに,BIC1はクリプトクロムの青色光依存的な二量体化形成を阻害した。

これらの結果は,青色光依存的な二量体化形成がクリプトクロムの初期反応を担う重要な過程であり,BIC1はクリプトクロムの二量体化を阻害することで,それに引き続くクリプトクロムのリン酸化などの一連の反応を抑制していることを示しているという。

クリプトクロムはさまざまな農業上の重要形質を制御しているため,この研究の成果は今後,作物量のバイオマス増収などにつながると期待できるとしている。

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