北海道大学,森林総合研究所,酪農学園大学,東京農工大学による研究チームは,ヒグマ,エゾシカ,キタキツネ,ユキウサギ,ホンドテン,アライグマ,タヌキ,エゾリスが明確な日周活動性を示すこと,一部の哺乳類は日周活動性を季節的に変化させることを,カメラトラップ調査による長期モニタリング(延べ13,279枚の撮影写真)により明らかにした(ニュースリリース)。
動物の体温と周辺気温の違いから,自動的に動物の写真を撮影する赤外線カメラを用いたカメラトラップ調査が注目されている。研究チームは,赤外線カメラ30台を使用し,2012年6月から2014年6月にかけて北海道支笏湖東岸の調査地域で調査を実施した。次に季節を区分して,対象とした哺乳類を撮影した13,279枚の撮影時刻から各季節の日周活動性を調べた。
解析の結果,対象とした哺乳類8種は4つの日周活動性に区分することができた。昼行型と夜行型の種は季節による日周活動性の変化は見られなかったが,一方で,薄明薄暮型と一日中型では日周活動性の季節変化が観察された。
この研究は,北海道に生息する代表的な哺乳類における基礎的な情報を提供し,日周活動性とその季節変化が種によって異なることを指摘した。また,個体数管理が必要な在来種や外来種の管理,外来種による影響を受ける在来種の保全にとって重要な情報となるという。
今後,人間が各種の日周活動性に与える影響を調べ,各地域における変化を明らかにすることで,より具体的な日周活動性の情報を収集することが期待される。また,各種の生息密度や分布などの情報を調べることで,捕食被食関係や競争関係を明らかにすることができるとしている。