長崎大学の研究グループは,自然界に見られる「自己集合」と「分子認識」という現象を活用することで,新しいタイプの発光性有機–無機超分子複合体を合成することに成功した(ニュースリリース)。
このアプローチは,これまでにない発光性材料を創出する有力な手法になるという。
自然界で酵素は「自己集合」によって酵素キャビティを形成し,キャビティ内に様々な化合物を「分子認識」によって取り込むことで,人工系では達成できないような複雑で高選択的な機能発現をしている。自然界を理解・模倣・凌駕するため,人工系でも様々な自己集合性分子が合成され,分子認識を介した機能発現が試みられてきた。
しかし,金属錯体を分子認識によって自己集合性分子に包接することは非常に困難な課題であり,包接できたとしても金属錯体の発光特性は低下してしまうことが知られていた。
今回研究グループはこの問題を解決し,簡便な手法で金属錯体を包接できることを明らかにするとともに,包接によって金属錯体の機能(発光特性)を大きく向上させること(高エネルギー化・高効率化・長寿命化)に成功した。
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