NCGM,細胞内脂質の高分解イメージングに成功

国立国際医療研究センター(NCGM)は、脂肪酸(小分子)に,一元素ラベルおよび蛍光X線顕微鏡を用いることで,世界で初の細胞内脂質の高分解イメージングに成功した(ニュースリリース)。

脂肪酸代謝異常は多くの疾病と関連が深く,多くの生化学的研究報告が行なわれている。一方,脂肪酸という小分子の標識は難しく,非標識では細胞レベルの観察は困難という理由から,細胞内脂質イメージングは実現できていなかった。

研究グループは,脂肪酸に一元素(物質の最小単位,臭素原子)ラベルを行ない,これを取り込ませた細胞を走査型蛍光X線顕微鏡システム(SXFM,大型放射光施設SPring-8のX線を使用)によって可視化する方法を開発した。これは,細胞内脂質の高分解イメージングを実現する初の方法。

研究で用いたマウス由来CHO-K1細胞では,ラベル元素シグナルは細胞核周囲に認められ,小胞体やゴルジ体と類似した分布を示した。

生化学的な検討から,細胞内に取り込まれた元素ラベル脂肪酸は概ね細胞内でリン脂質に代謝されていることが明らかになった。これらから,得られた元素分布像は,細胞内ラベルリン脂質を主に観察していると考えられるという。

SXFMは直径1ミクロン以下の細胞内ラベル脂質構造体(ミトコンドリアなどと同等の大きさ)を可視化しており,オルガネラレベルの分解能を提供している。

今後,様々な脂肪酸に一元素ラベルを行ない,細胞内局在を可視化することで,オルガネラレベルでの脂質代謝による変動が明らかにできるとしている。また,このシステムより,多様な生命現象や,炎症,血管障害,神経疾患を始めとする多くの疾患に関わる研究が展開することが期待できるという。

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