沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは,豪Innsbruck大学の研究者らと共に,光に捕捉された微粒子間の相互作用が,光マイクロファイバーに沿って分布し,さらに光の特徴により粒子の動きのスピードが異なることを発見した(ニュースリリース)。
光マイクロファイバーに沿って光の強度を分配することは,物理学の世界のみならず,生物学の世界でも多様な応用の可能性のある微粒子操作の手法として使われている。
光と光マイクロファイバーを利用する方法は,基本モードと高次モードの主に二つがある。基本モードは,光のビームの中央でエネルギーが最も高く,両端に行くにつれてエネルギーが低くなる基本的な光の強度分布。これ以外の形状の光は高次モードに分類され,ある特定の結晶に光を通すことで作られる。
研究チームは以前,基本モードの光よりも高次モードの光を使うほうが,単一の粒子をより高速で捕捉し,移動させることを発見した。今回は,複数の粒子を扱った場合の粒子の相互作用とスピードの変化を,基本モードと高次モードにおいて詳細に観察した。
光マイクロファイバー周辺の光に複数の粒子が捕捉されている場合,特定の秩序に沿って粒子は配列するが,これを光学結合効果と呼ぶ。これらの粒子の相互作用を探求するため,研究チームはマイクロファイバーに沿って粒子が移動する速度を測った。
基本モードと高次モードで測定を行なった結果,高次モードでは粒子に異なる効果が現れることを発見した。高次モードでは,より多くの粒子が追加されたときに,粒子全体のスピードが遅くなり,基本モードではその逆になった。
移動する複数の粒子間距離は,光源から離れるほど小さくなり,光源に近づくほど大きくなった。基本モードと高次モードとでは,高次モードでは粒子間距離は小さくなることを発見した。これは高次モードでは,結合効果が異なることを証明するものだという。
研究チームは実験での発見を説明する理論的なモデルも構築した。そのモデルでは,光に捕捉された粒子は,光の中で光を反射・伝播する鏡のような役目をし,これが相互作用を引き起こしていると説明している。
研究チームは光に捕捉された粒子間における相互作用を理解することの重要性に焦点をあてた。高次モードでの粒子のふるまいのような物理的現象の理解は,粒子の位置のコントロールをしやすくするばかりでなく,1Dクリスタルのような構造の中での原子の鎖の量子効果を研究する際にも役立つとしている。