OISTら,孤立系における量子状態を解明

沖縄科学技術大学院大学(OIST),アイルランド国立大学ダブリン校,英ダラム大学の研究グループは,粒子系の1つについてシミュレーションを行ない,孤立系における粒子の状態を明らかにした(ニュースリリース)。

巨視系の研究を行なう場合,研究者は1023など多くの粒子を調べる傾向にある。しかし粒子数があまりに多いがために,一つ一つの原子すべてを追うことができず,推定しなければならなくなる。

この状況を避けるため,研究グループはわずか2個の原子しか持たない系でシミュレーションを行なった。これによって,より大きな系の構成要素が得られるだけでなく,すべてをうまく制御しながら,起こっていることを正確に把握することができた。

また,この系をさらに踏み込んで制御するために,極低温原子の検討を行なった。粒子は室温で非常に速く動き回る。室温が上がれば,粒子の動きも速くなる。レーザー冷却を用いることによって,このような原子の動きをほぼ零速度にまで下げ,極低温にまで冷却することができる。

このような系の中にある粒子ができる最も単純なことは,互いにぶつかり合うこと。その力によって粒子は動き回り,方向を変えるが,粒子にはスピンと呼ばれる動きもある。1粒子のスピンは粒子の動きを際立たせるか,低下させるかのいずれかであり,粒子の動きにさらに影響を及ぼす。

これはスピン軌道結合と呼ばれる効果で,スピン軌道結合した極低温原子2個の系でシミュレーションすると,このような新しい状態が非常に強い相関関係とともに明らかになった。

粒子が数を増やしていく長い連鎖のどこかで,この新しい状態がどこかに行ってしまうため,2粒子の系ではこうした状態が得られるが,1023粒子のような系では得られない。

研究グループは,この新しい状態とともに,この系を正確に表す公式を発見した。これにより,この系の設計が可能となる。こうした公式を見つけることによって,この量子系を制御し,系の力学を調べるためのパラメータを変えることを計画しているという。

研究グループはこの系を分け,2つの系にしようと考えている。強い相関関係を用いれば,系の測定に役立つ。片方の系に原子1個が見つかった場合,強い相関関係にあるため,測定しなくても,もう1つの原子もその系にあることがわかる。

今回の研究は量子力学ができる小さな一側面にのみ集中しているが,より強力な量子コンピュータを構築することができるという。また,ごくわずかな重力の差や脳内の電気パルスを測る測定機器を製作することも可能になるとしている。

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