阪大ら,欠陥修復グラフェンで最高伝導度

大阪大学,北陸先端科学技術大学院大学,名古屋大学,あいちシンクロトロン光センターらの研究グループは,還元処理をした酸化グラフェン薄膜においてグラフェン本来の電気伝導特性を反映したバンド伝導の観察に初めて成功した(ニュースリリース)。

酸化グラフェンは非常に多くの欠陥構造を有するため,還元処理後に得られるグラフェン薄膜のキャリア移動度はせいぜい数cm2/Vsに留まっていた。

今回,研究グループは,還元過程において微量の炭素源ガス(エタノール)を添加した高温(1100℃以上)加熱還元処理により欠陥構造の修復を促進させることで,飛躍的に酸化グラフェンの結晶性を向上させた。

このバンド伝導の発現により,還元処理をした酸化グラフェン薄膜としては現状最高レベルのキャリア移動度(~210cm2/Vs)を達成した。

この成果によって,酸化グラフェンは,還元処理によりグラフェン薄膜の生成が可能なため,グラフェンを利用した電子デバイスやセンサーなど様々な応用が期待されるとしている。

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