JAISTら,バイオ透明メモリーデバイスを作製

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は,国立台湾大学とともに、微生物を用いて生産されるシナモン類を原料としたバイオ由来透明メモリーデバイスの作成に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

バイオプラスチックは植物などの生物に由来する再生可能な有機性資源(バイオマス)を原材料とするプラスチックで,二酸化炭素(CO2)削減と廃棄物処理に有効であるとされているが,未だ使い捨て分野で使用されているのが現状であり,用途は限られている。

一方その高価格を想定した場合には,高付加価値を持つ用途への展開が想定される。今回,2年前にリリースしたバイオポリイミドの高付加価値のある用途として世界初のバイオ由来の高信頼透明メモリー素子を開発した。

メモリー素子の中には電気を与えるものと受け取るものが存在し,ある特定の条件でこれらの間に電気が流れる必要がある。今回バイオポリイミドを電気を与える物質として利用し,電気を受け取る物質として酸化チタンなどの金属酸化物を複合化した。

ここでは,バイオポリイミドの合成方法の高効率化と金属酸化物複合化方法の開拓がキーテクノロジーとなる。従来,バイオポリイミドは7段階の工程で作製されていたが,今回4段階の工程数のみでフィルムを得た。

さらに,ゾル-ゲル法という一般に良く使用される手法が適用可能であることを見出し,バイオポリイミドと酸化チタンまたは酸化ジルコニウムから透明な有機/無機複合体を得た。

そして無機物の量が少ないときには揮発性,無機物の量が多いときには不揮発性のメモリー素子に使用可能であることも分かった。さらに,メモリーの信頼性につながる指標であるON/OFF比は108にも達した。

今後,ほかの種々の金属酸化物と複合化することで,様々な機能性材料を作成することが可能となる。また,今回の複合体は透明性も高いことが分かったため,未来指向型の透明コンピュータの透明メモリーとして有効利用できると考えられるという。

そうすれば,透明タブレット,メガネ装着型コンピューター,自動車のフロントガラスに装着できるコンピューターなど,さまざまな効果や展開が期待できるとしている。

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