JAXAら,観測衛星による日食の画像・動画を公開

宇宙航空研究開発機構(JAXA),国立天文台,および米国航空宇宙局(NASA)は,3月9日に太陽観測衛星「ひので」が撮影した部分日食の画像・動画を公開した(ニュースリリース)。

公開した画像・動画は,「ひので」が平成28年3月9日午前9時8分頃(日本標準時)に高度680kmでインドネシア上空を飛翔している際,搭載されているX線望遠鏡(XRT)で撮影したもの。

X線で輝く太陽コロナを背景に,新月状態の黒い月が太陽の南西(画像の右下側)から現われ,北に向けて太陽面を横切っていく様子がとらえられている。

「ひので」から見ると太陽のほとんどが隠される(最大食分 0.978),皆既食帯に入る一歩手前の部分日食だった。「ひので」の飛行速度は時速約27,000kmと非常に早いため,部分日食の開始から終了まで,わずか約15分だった。

「ひので」は,この撮影の前後に,皆既日食が観測されたインドネシアで地上観測を行ったチームと国際共同観測を行なった。X線コロナ画像の撮影の他,コロナから発せられる紫外線輝線の観測を,極端紫外線撮像分光装置(EIS)で行なった。

これらのデータは,皆既日食時に可視光で見られるコロナ構造とX線ジェットの因果関係や,高温なコロナ物質の物理的状態を調べる研究に用いられる予定だとしている。

関連記事「JAXAら, 日食で太陽光のオゾンへの影響を調査