三重大学は,ニチコンとの共同研究を推進し,再生可能エネルギーである太陽光発電の普及に貢献する高機能・高電圧対応アルミ電解コンデンサー「105℃750V以上」用新規電解質を開発した(ニュースリリース)。
コンデンサーとは蓄電器のことで,静電容量により電荷を蓄えたり,放出したりする受動素子。用途としては,電子回路に抵抗器やコイルと共に用いられ,整流効果を示し,フィルタとして用いられている。
コンデンサーには様々な種類があり,プラスチックフィルムコンデンサー,セラミックコンデンサー,マイカコンデンサー,電解コンデンサー,電気二重層コンデンサーなどがある。
中でもアルミ電解コンデンサーは,電気製品に数多く組み込まれており,太陽光発電用等の電力変換装置のキーコンポーネントの一つとなっている。
太陽光発電設備を初めとした電力変換装置の更なる高信頼化や,環境負荷の低減には,アルミ電解コンデンサーの高耐電圧,高耐久性,小型化などが重要となる。三重大学では,コンデンサーの主要成分である電解質の性能向上に努め,所期の目標を達成した。
具体的には,電解液の主要構成成分である二塩基酸の分子構造と要求性能(高耐電圧化・高耐熱性化他)の相関関係を追求し,最適な分子構造を提案し,目標性能の達成に成功した。
この新規高機能電解質を用いることで,従来の85℃650V対応をグレードアップした105℃750Vのアルミ電解コンデンサーの実現が可能となった。
この研究成果は,太陽光発電分野にとどまらず,電力変換装置を必要とする様々な電気電子機器の信頼性の向上と日本の電気電子産業の国際競争力の向上に貢献するものだとしている。