XFELが捉えた原子・分子の現象
2015年12月14日
分子研ら,酸化タングステン光触媒の光キャリア超高速構造追跡に成功
X線自由電子レーザーSACLAを用いて,0.5ピコ秒の時間分解能で酸化タングステン光触媒のX線吸収分光測定に成功した。これにより,これまで明らかにされていなかった光励起状態における酸化タングステンのタングステン周囲の局所構造を解明することができた。
2015年11月11日
北大ら,産学連携で排ガス用触媒をXFEL観察
XFELの特徴を活かして,コヒーレント回折イメージングにより,自動車排ガス浄化用触媒材料を放射線損傷なくナノレベルで観察することに成功。データ解析の結果,母材であるアルミナの表面に,触媒であるロジウムのナノ粒子が担持されていることが示唆された。
2015年11月6日
東北大ら,高温超伝導体の謎をX線レーザーで解明
Y系高温超伝導体:YBCOに超強力な磁場を短時間加えて超伝導状態を抑制し,瞬間的に強度を増す電荷秩序波の信号を,磁場と同期した超高輝度のX線自由電子レーザー光をあてることで,直接捉えることに成功した。
2015年8月3日
東北大ら,X線のパルス幅の間に分子が変形することを発見
重原子を含む分子にSACLAの強力X線パルスを照射すると,10フェムト秒のX線照射時間内に分子が多くの電子を失って分子の形も変化することが見出されたことは,X線散乱の解析においても,この現象を,モデル計算等を用いて考慮する必要があることを示している。
2015年6月7日
京大ら,超強力X線による極微小プラズマ生成を発見
SACLA の強力なX線パルスを原子の集団に照射すると,X線のエネルギーや原子の種類によらず低エネルギー2次電子を大量に放出し,この2次電子が束縛されてナノプラズマを生成する可能性が常につきまとうことが示された。
2015年6月17日
KEKら,XFELを用いて分子の生成過程を直接観測することに成功
原子サイズの波長をもつX線を用いたX線溶液散乱により,光によって結合が形成される金イオン間の構造を原子レベルで精密に調べた。さらに,XFEL施設「SACLA」が供給する波長83ピコメートル,発光時間10フェムト秒程度のX線ストロボ光源を使うことにより,高速な反応中の一瞬の状態を切り取って観測した。
2014年10月2日
理研ら, X線自由電子レーザによりX線可飽和吸収を初めて観測
X線レーザを20μm厚の鉄の薄膜に照射し,吸収スペクトルを計測したところ,通常の状態に比べ,X線の透過率が10倍以上増大することが分かった。 また,X線の強度が高い部分だけが透明になるため,吸収する物質内にX線導波路を形成できることも明らかになった。
2014年5月19日
北海道大や理研など,ナノ結晶中の超高速構造変化をX線レーザで捉えることに成功
ポンプ光であるチタンサファイアレーザ(波長800nm,パルス幅30fs程度)で二酸化バナジウムナノワイヤーを刺激し,引き起こされる過度的な超高速構造変化を,プローブ光である波長0.1428nm,パルス幅10fsのX線自由電子レーザで捉えた。
2014年5月2日
理研など,SACLAを用いて真空に潜んだ未知の場を探索した結果を発表
ヒッグス場以外にも宇宙のインフレーションを起こした場,宇宙の再加速を起こしている場など,真空に潜んだ未知のモノ(場)を,X線自由電子レーザー施設「SACLA」を用いて探索した結果を発表した。
2014年2月18日
理研など,X線の2光子吸収の観測に成功
SACLAのX線ビームを約100ナノメートルまで絞り込み,超高強度X線をゲルマニウム試料に照射し,2光子吸収を起こすことに成功。また,2光子吸収と並行して,超高強度X線による試料の破壊がフェムト秒の速さで進むことを明らかにし,試料が壊れていく過程をコンピュータ上でシミュレーションすることで,壊れる前の物質が本来持っていた固有の情報の抽出に成功した。