防衛省,レーザーによる爆発物検知識別装置を開発

防衛省 技術研究本部 陸上装備研究所では,レーザーを用いて爆発物を遠隔より計測する手法について研究を行なっており,その研究を行なう爆発物検知識別装置を開発した(ニュースリリース)。

この装置は,主にレーザー装置のあるレーザー照射部,対象物からの光を計測する受光部,受光した光を計測,解析するデータ処理部から構成されていて,これらの装置が1つのコンテナに組み込まれている。この装置はコンテナごと輸送ができる。

レーザーを対象物の表面に集光照射すると,対象物の表面の一部がプラズマ化する。生成されたプラズマからはその対象物に含まれる物質に特有の光が放出される。この光を離れたところから測定することで,対象物の組成を知ることができる。英語では,Laser Induced Breakdown Spectroscopy(レーザー誘起ブレイクダウン分光法)と呼ばれており,これを略してLIBS(リブス)と称している。

対象物が爆発物の場合,レーザーを集光照射することによって火がついたり,爆発したりしないようにすることが必要だが,この装置では超短パルスレーザーを用いており,打ち上げ花火などに用いられる黒色火薬に直接集光照射した実験においても,着火や爆発することなく,目的のデータを取得することができている。

陸上装備研究所では今後,複数の対象物に対して,様々な設定の組み合わせでのデータを取得,蓄積する予定。

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