千葉工業大学と東北大学が開発した「S-CUBE」(エスキューブ)は宇宙からの流星観測をミッションとする超小型衛星。10センチ角のユニットからなる「S-CUBE」は日本初の3Uキューブサットとして,本格的な科学観測に挑む(ニュースリリース)。
「S-CUBE」は相補的な関係である,流星観測カメラ「メテオ」(打上げに失敗)との同時観測を目標に,宇宙航空研究開発機構(JAXA)の『「きぼう」からの超小型衛星放出機会提供』に応募した。「こうのとり」5号機に搭載されて,8月16日に種子島宇宙センターから打ち上げられる。
「S-CUBE」は「こうのとり」により宇宙ステーションに届けられた後,JAXAの小型衛星放出機構(J-SSOD)により,「きぼう」日本実験棟から放出され地球周回軌道に投入される。
「S-CUBE」がターゲットとする流星は,太陽系始原天体である彗星や小惑星の塵が地球大気に衝突する(ぶつかる)ことで生じる現象。そのため,流星観測は「間接的な太陽系始原天体探査」といえる。
「S-CUBE」には科学測器として可視カメラ1式と紫外線センサ3式を搭載している。流星の紫外線はオゾン層による遮蔽のため地上に届かず,これまで詳細な観測が行なわれてこなかった。
「S-CUBE」は、世界初の「宇宙からの流星紫外線観測プロジェクト」であり,流星の発光メカニズムの解明や,流星塵成分の新たな情報を得ることが期待される。
また,地球への微小天体の衝突頻度や空間分布の評価につなげることができ,宇宙物質が地球にどれだけ供給されているのかを議論することが可能になるという。
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