富士通に見るIoT時代の光技術

富士通は技術内覧会「富士通フォーラム2015」を,5月14日,15日の2日間,東京国際フォーラムにて開催する(ニュースリリース)。これに先立ち,展示内容に関するプレス向け説明会を12日に行なった。(写真はインテグレーションサービス部門部門長 谷口典彦氏)

ICTに注力してきた同社は,今回もビッグデータ,クラウド,モバイルなどを中心とするICTサービスの展開を軸にした展示を行なう。ICTビジネスの生命線である光通信インフラでも基幹システムを担う同社だが,今回の内覧会ではIoTやビッグデータなどにおけるインテグレーションサービスを中心に提案を行なっている。

こうした応用における光技術は,ICTネットワークの目となり耳となってデータを生成する役目を果たす。今回,特に新しい技術の展示は見られなかったが,高い信頼性と広い利用シーンを持つ光技術は,デジタルビジネスにおいても無くてはならない存在である。ここでは同社がICTビジネスに用いる光技術のいくつかを紹介したい。

虹彩認証
同社はこれまで,生体認証として主に静脈認証を手掛けてきており,市場でも高い実績を誇る。その一方,虹彩の模様を使って認証を行なう虹彩認証のデバイスの小型化も進めてきた。今回,スマートフォンに取り付けるタイプのデバイスを参考出品している。これは赤外線LEDとカメラを組み合わせたもので,これまで大掛かりだった装置を大幅に小型化することに成功した。

生体認証の性能を表す指標に,本人であるのに他人であるとして受け入れを拒否される「本人拒否率」と,他人なのに本人として認められてしまう「他人受入率」があるが,開発したデバイスは共に静脈認証レベルを達成しているという。認証に必要な時間も非常に短く,端末の認証など使用頻度が高いシーンでもスムーズに利用することができる。

また外乱光にも強く,日中の屋外でも太陽光が直接カメラに入射したりしない限りは問題なく使用できる。同社ではスマートフォンをはじめとしたモバイル機器への搭載を意識しており,近いうちにこの虹彩認証デバイスを組込んだスマートフォンがキャリアから発表されるようだ。
関連記事「富士通,赤外線による虹彩認証を搭載したスマートフォンの試作機を開発