NEDOの3Dプリンタによる人工骨,欧州で販売

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトにおいて,3Dプリンタで成形するカスタムメイド人工骨CTボーンを開発したネクスト21が,4月30日にオランダXilloc社とEU諸国における製造・販売に関するライセンス契約を締結した(ニュースリリース)。今後,Xilloc社が,EU指令93/42/EEC(欧州医療機器指令MDD)の登録手続きを行ない,CTボーンの製造・販売を開始する。

CTボーンは,NEDOプロジェクトにおいて,ネクスト21,東京大学,理化学研究所などの研究チームによって開発された,世界初となる3Dプリンタで成形するカスタムメイド人工骨。研究チームは,NEDO「産業技術実用化開発助成事業」で前臨床試験を実施し,医療基盤研究所(NIBIO)の支援で臨床試験を実施した。

CTボーンは,インクジェット方式による三次元積層造形法により,3Dプリンタでカルシウム粉体を積層成形する。骨内部構造の設計もでき,0.1mmの形状再現ができるため,人工骨の成形には現在の成形技術の中で最も優れた方法となる。また,日本国内では自家骨移植が主流だが,摘出による外科的侵襲や採骨部の形態が変わることが問題だった。CTボーンは従来の人工骨のように熱処理をしていないので,自骨への癒合が早く,優れた治療効果を出すのが特長だとしている。

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