シャープは,同社の家庭向け太陽電池パネルのフラッグシップモデル「BLACKSOLAR」の新モデルを公開した。従来と同じサイズとなる6×7のセル配列で,現行モデルの210Wを凌駕する220Wを発電する。
「BLACKSOLAR」はP電極とN電極を裏面に配したバックコンタクト構造を持つ単結晶太陽電池で,配線が表面に無いことから,セル全面に太陽光を受けることができる。電極が表面に出ておらず,反射を抑えた表面構造により全面が黒く見えることからこの名が付いている。
「BLACKSOLAR」は裏面の電極数を増やし,その電極をセルの端まで伸ばすことで従来無効となっていたエリアでの発電した電気も取り出している。また,セルを銅配線シートの上に置くことでセル同士を裏面で接続する配線シート方式により,電流の損失を小さくしている。
同社によれば,一般的な構造の太陽電池に対して「BLACKSOLAR」は,バックコンタクト構造により6%,配線シート方式により3%,合計9%出力が大きくなるとしている。これにより将来的にはセル変換効率25.1%において,モジュール出力250Wが達成できるとしている。
現行の「BLACKSOLAR」はこうした工夫の積み重ねや太陽電池セルのレシピの改善によって大出力化を実現しており,今回公開した220Wタイプの試作品にはまだ公表していない工夫が凝らされているという。これによりモジュールの変換効率は,現行の200Wモデルの18.2%から19.1%に向上している。
220Wタイプの発売時期は未定としているが,既にモジュールとして試作に成功いることから今年中には発表があるものとみられる。
また同社は,現行の210Wモデル以降,出力と機器の両方を保証するプレミアム保証を無償で提供している。10年保証を謳うメーカが多い中,20年の長期無料保証は異例。同社は高性能と高品質を同時に担保することで,低価格を武器に攻勢を強める海外勢に対抗する考えだ。