シャープ,フレキシブルシースルー太陽電池を試作

シャープは,同社のシースルー太陽電池の技術を用いて,フレキシブルなシースルーな太陽電池を試作した。

同社は隙間を開けたパターンの薄膜シリコン太陽電池をガラスに挟み込む「シースルー太陽電池」を発売している。網戸の向こうが透けているように見えるように,微細な太陽電池パターンの隙間から向こう側が見えるようになっており,外観や日光を採り入れながら発電ができる。


開発したフレキシブルシースルー太陽電池

発売中のシースルー太陽電池

シースルー太陽電池のパターン


構造上,開口率と太陽電池の面積はトレードオフの関係になるため,外寸1,402×1,001mmサイズの開口率が10%のタイプは出力95Wなのに対し,開口率30%のタイプになると68Wとなっている。

この太陽電池はペアガラスに挟まれており,建材として販売されている。そのため非常に重く(上記タイプで1枚あたり30kg以上),またサイズにも制約があるなど,応用に小回りの効かないという弱点があった。また,マンションのベランダでの採用も提案しているが,専有部分での発電量だけでは小さくて利用しにくいといった問題があり,現在採用が進んでいるのは大型商業ビルなどに限られているという。

同社ではこうした制約を取り払い,さらなる市場拡大を求めてフレキシブルタイプのシースルー太陽電池を開発した(写真は開口率20%)。これは薄膜シリコン太陽電池をガラスの代わりにプラスチックフィルムで挟んだもので,厚さは数百㎛と極めて薄く軽量,かつフレキシブルにできる。

応用としては自動車の部材をはじめ,カーポートなど曲面のある採光部分やモバイル機器などを想定している。フレキシブル太陽電池では有機薄膜太陽電池の期待が高いが,封止技術や変換効率など超えるべきハードルは少なくない。このフレキシブル太陽電池もフィルム材の信頼性の向上が必要だというが,シリコン薄膜太陽電池の技術は完成していることから,1年以内に製品化して「太陽電池の新たな起爆剤にしたい」(開発担当者)としている。