QDレーザ,ロービジョンケア向け網膜走査型レーザアイウェアプロトタイプを開発

QDレーザと東京大学ナノ量子情報エレクトロニス研究機構は共同で,ロービジョン(矯正しても視力十分に出ない,視野が欠損している等の状態)ケアに向けて,網膜走査型レーザアイウェアプロトタイプを開発した(ニュースリリース)。今後,国内大学病院,教育機関と連携して性能検証を進めるとともに,視覚補助器としての製品開発を行ない,2016年3月までに商品化する。

このレーザアイウェアは,超小型半導体レーザプロジェクタをメガネフレーム上に配置し,装着者の網膜をスクリーンとして,デジタル画像を投映する。このアイウェアは,次のような優れた特長を有する。

①原理的にプロジェクタの構成であるため,小型のデバイスでありながら大画面を得られる。 ②RGB単色光源として半導体レーザを用いるので,高輝度・高色再現・低消費電力。③網膜の任意の位置に画像を直接描画することができる。④光学的にフォーカスフリーとなるため,装着者はその視力にかかわらずクリアな像を見ることができる。⑤光学ユニットをメガネフレームの内側に配置できるので,アイウェア外観に違和感がない。

ロービジョンケアを目指して開発した今回の網膜走査型レーザアイウェアは,コンパクトなウェアラブル機器の構成でありながら,PC等の文字や映像情報を網膜に直接描画することはもとより,眼鏡フレーム中央のカメラモジュール搭載,両眼視対応,光学的輝度調整,装着者に合わせた多段階フィッティング,メガネフレームを覆うカバーによる遮光等,ロービジョンケアに有効な機能を備えている。

眼鏡に備えたカメラの映像を網膜に直接投影することで,ロービジョンの方でも外界の様子を見ることができると期待されるという。

同社では今後このプロトタイプを使って,国内の大学医学部眼科教室や教育機関等と連携して,様々なロービジョンの方々を対象とした調査を行なう。これによってレーザアイウェアを視覚補助器として使用することの有用性と安全性を明確にし,視覚補助器としての仕様,デザイン,ユー ザインターフェースを最適化する。そして,2015年9月には量産プロトタイプを完成し,2016年3月までに商品化する予定。

また,さらなる超低電力化・小型化・形態最適化により,医療検査機器や作業現場支援へ展開を進めるとともに,2017年にスマートグラスの実現を目指すとしている。

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