名大ら,従来比1/2の電圧で動作するデータセンタ向け固体ストレージを開発

名古屋大学,超低電力デバイス技術研究組合,産業技術総合研究所(産総研)は共同研究により,データセンタ向け固体ストレージSSD(SolidStateDrive)への適用を目指した新型相変化デバイスを開発し,優れた低電力動作と,高信頼性を実証した(ニュースリリース)。この日本発の新デバイスをTRAM(topological-switchingRAM)と名付けた。

今後,データセンタ向けSSD,特に,アクセスが集中するストレージ階層には,これまでにない高速処理能力が求められる。SSDの不揮発メモリには,現在,フラッシュメモリが用いられている。フラッシュメモリは多値記憶により大容量化を達成しているが,そのためにデータ転送速度が遅く,高い内部電圧が必要で消費電力が大きいという課題がある。

TRAMはGeTe/Sb2Te3超格子材料を用いた新メモリ。これまでに,書換動作後にGeTe/Sb2Te3超格子膜が保持される“溶融を伴わない”抵抗変化を実証し,CMOS基板上へのTRAMデバイス試作を世界で初めて行ない,従来比1/2の低電圧動作を確認した。

今回,GeTe/SbzTe3超格子の組成や構造を最適化したTRAMデバイスを世界で初めて開発し,従来比(2013年12月)1/2の低電流動作,高抵抗化/低抵抗化の電流比1(従来4)の動作を確認した。さらに,スイッチング性能の優れたGeTe/SbsTe3の超格子構造を原子スケールで解明し,TRAMが従来の結晶一非晶質間遷移と異なる,結晶一結晶遷移モデルで説明できることを原子レベルで実証した。

この技術を適用することで,書き込み/消去の性能差の小さい高速,低電力,高信頼のSSDデバイスを実現でき,その高性能化を利用したチップ個数の削減によるストレージシステムの低コスト化や,データセンターの低電力化に貢献することが期待されるという。研究グループは今後,実用化を目指した集積化実証の研究開発を進めていくとしている。

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