東工大らの超小型人工衛星”TSUBAME”が完成,打ち上げへ

東京工業大学(東工大)と東京理科大学のチームが開発した人工衛星 “TSUBAME” は,最終テストを終えて無事,完成した。打ち上げは10月末以降の予定(ニュースリリース)。

TSUBAMEは東工大として4機目となる大学発の超小型衛星であり,独自に開発した高速姿勢制御装置を軸とした新しい地球観測技術の実証,超小型衛星を用いた本格的な宇宙観測の実現を目標としている。超小型衛星は100kgを下回るような規模の衛星のことで,”TSUBAME”は50cm四方,50kg級の衛星。

TSUBAMEには,この衛星のために開発された機器が複数搭載されている。
超小型コントロールモーメントジャイロ(CMG)
CMGとは,回転するコマの軸の向きを変えることでトルクを発生し,衛星の姿勢制御を行なう機器。従来,国際宇宙ステーションなどの大型構造物に搭載されてきた実績があるが,超小型衛星にも搭載できるような超小型CMGを新規開発し,TSUBAMEによって軌道上での動作を実証する。

X線偏光観測装置
数十億光年という遙かかなたの宇宙でブラックホールが誕生する時に放射される強烈なガンマ線閃光現象「ガンマ線バースト」を観測する。主検出器であるX線偏光観測装置は世界でもほとんど例のないX線エネルギーバンドにおける偏光観測という新しい観測手法により,ブラックホール誕生の瞬間に迫る。

地球観測用高解像度可視光カメラ
地球の一点を継続監視して地上・海洋・雲などの高解像度画像を撮影する。CMGを用いて必要なポイントを向くことが可能で,災害監視などへの応用が期待される。

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