住友化学,PIDを抑制する太陽電池封止シート用EVAを発売

住友化学は,太陽電池を高電圧下で長期間使用した場合に,パネルの中をイオンが移動することによって劣化が生じ,出力が大幅に低下するPID現象を抑制する特性と,高い透明性を併せ持つ太陽電池封止シート用EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)「スミテート®」の新規グレードを開発した(ニュースリリース)。

太陽光発電の導入量が全世界で増加し続けている中,メガソーラーと呼ばれる出力1メガワット以上の大規模発電所の一部では,太陽電池の出力が大幅に低下するPID現象が顕在化し,その対策が求められている。

これまで,太陽電池封止シート用EVA においては,EVAの酢酸ビニル濃度(VA濃度)を低下させることなどでPID現象を抑制できたが,一方で封止シート自体の透明性の低下が発電効率に悪影響を及ぼすことが課題となっていた。

今回,同社が開発した「スミテート®」新規グレードは,独自技術によって,PID現象の原因である封止シート中のイオンの移動を抑えることを可能としたもの。外部評価機関によるPID促進テストでは,現行同社EVA を使用した場合には太陽電池の発電量の低下率が94%であるのに比べ,今回の新規グレードを使用した場合には発電量の低下率が2%へと大幅に改善する結果が得られた。

さらに,この技術を高VA濃度のEVAに適用することでPID現象の抑制と高い透明性を両立でき,発電効率の向上にも寄与する。これらの特長から,高い発電効率を要求されるメガソーラー向けに,特に効果を発揮するという。