北陸先端科学技術大学院大学は,化学発光イメージングを利用したポリマー材料のハイスループット寿命評価装置を開発した(ニュースリリース)。開発した装置は,長寿命,あるいは,リサイクル性の高いポリマー材料の開発を飛躍的に促進する。
ポリマー材料の生産量は,今や年間2億トンにも達している。ポリマー材料の大半は,未だに石油由来の原料から作られており,多くの場合,使用後に焼却処分されている。リサイクルやリユースを可能にするためには,使用中に劣化によって品質低下してしまわないように,十分な寿命を確保しなければならない。
10~30年の寿命を持つポリマーを開発する際,開発品の寿命評価が最大の律速となる。研究グループは,これまで一つ一つ行なってきた寿命評価を,ポリマーの酸化劣化に伴う化学発光を測定する,ポリマーの寿命を最も高感度に評価する方法の一つである,化学発光イメージング技術により並列化することで,この課題を解決しようと試みた。
当初は,温度誤差やポリマーの劣化によって生成した揮発性化合物の飛散など,様々な問題に直面したが,フローセルや恒温槽などの設計によって,最終的に,100検体ものポリマーの寿命を一度の測定で正確に評価可能な,「ハイスループット化学発光イメージング装置」を世界で初めて開発することに成功した。
この装置は,ポリマー材料の寿命評価を、事実100倍に加速することができ,1年要していた評価をわずか数日で行なうことを可能とした。研究具グループは,長寿命なポリマー材料の開発や抗酸化剤などの安定化剤の配合最適化に関する研究開発が飛躍的に促進するものと期待している。
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