富士フイルムの抗インフルエンザウイルス薬,エボラ出血熱患者に投与

富士フイルムは,同社グループの富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(一般名:ファビピラビル)が,エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため,フランスの病院で投与されたと発表した(ニュースリリース)。

日本政府は,感染が広がるエボラ出血熱に対して,日本の企業が開発した治療に効果の見込める薬を提供する準備があることを表明している。

今回,フランス政府機関であるFrench National Agency for Medicines and Health Products Safety(ANSM)より同社に対して,エボラ出血熱ウイルスに感染したフランス人女性看護師の治療用として,アビガン錠の提供の依頼があり,日本政府と協議の上,緊急対応としてこれに応えたもの。

投与されたフランス人女性は,リベリア共和国の首都モンロビアで医療活動に従事している中,エボラ出血熱ウイルスに感染していることが判明し,治療のためにフランスへ移送されている。9月19日,アビガン錠とほかの未承認医薬品を併用する形での治療が開始された,との連絡がANSMより入った。9月25日時点,患者はアビガン錠を服用している。

なお,同社と富山化学工業は,引き続き,当該薬事当局,関係国際機関,ウイルス感染症専門医などと連携し,アビガン錠をエボラ出血熱患者の治療に活用する可能性について検討していくとしている。

なお,アビガン錠は日本で抗インフルエンザウイルス薬として平成26年3月に薬事承認を取得している。