昭和電工は,パワー半導体の材料である炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウェハ(エピウェハ)の6インチ(150mm)品の生産能力を月産 400枚から1,100枚に増強した(ニュースリリース)。
これにより,同社の月産能力は4インチ(100mm)換算で従来の約6割増となる2,500枚になった。 また,高性能デバイスに対応し,低欠陥化(現状の欠陥密度の平均値0.5個/cm2に対し,新グレード品は平均0.25個/cm2)を進めた新グレード製品の出荷を10月より開始する。これにより,大型チップの収率(歩留まり)は従来品に比べ10%以上の向上が見込めるとしている。
SiCパワー半導体は,次世代型パワー半導体として注目されている。すでにデータセンターのサーバ電源や新エネル ギーの分散型電源,地下鉄車両に採用されているが,先般,自動車への搭載が表明されるなど,今後,一層の需要拡大が期待されている。
同社はSiCエピウェハに関して3インチ(76.2mm)品,4インチ品,および6インチ品の製造,販売を行なっており,特にデバイスの生産効率が高い大口径6インチ品の供給を拡大するため,全サイズに対応可能なCVD装置を増設した。新装置は従来装置に比べエピの生産効率性が約30%高 く,デバイスのさらなるコスト低減にも貢献するという。
SiCパワー半導体の市場規模は2020年に300億円規模に拡大すると予想されている。同社は今後も市場の要求品質に応えるとしている。