立命館大学の研究グループは,LED照明とスマートフォン(スマホ)のカメラの連携による盗撮防止システムのプロトタイプを開発した(ニュースリリース)。
現在,盗撮事件の64%がカメラ付携帯やスマホによるものであり,スマホの普及に伴い,更にその割合と数は増加傾向にある。また,近い将来にはウェアラブル端末の普及により,カメラを用いた犯罪行為はますます巧妙,かつ増加の一途をたどるものと予想される。
これまで加害者による盗撮行為を制限するための手法としては,撮影時にシャッター音を鳴らす,端末の角度を検知して撮影できなくする,撮影禁止区域では撮影防止シールをレンズに貼る等があったが,どれも携帯端末単体での制御となり,直接的な対策には至っていない。
開発した技術は,プライバシーを保護したい空間内で送信機(LED照明)と受信機(スマホ)の信号のやり取りを行ない,カメラ撮影を制御するシステム。具体的には,LED照明から信号(照度)パターンを生成・送信し,スマホのカメラが可視光を受信した際に信号(照度)パターンを,スマホ内のアプリを用いて画素値を基に自動処理することで瞬時にパターンを識別してカメラ機能を停止させるというもの。
このシステムのLED照明を駅などの公共空間に導入し,専用のアプリをスマホ等の携帯端末に内蔵することにより,一定の空間内に人が入ると,携帯端末のカメラ機能を使えないようにすることが可能となる。
可視光を利用して一定空間内での盗撮を防止するというシステムの研究開発は世界でも初の試み。また,この技術を応用することでカメラ撮影だけでなく,その他の電源や音など様々な処理を制限することも可能となる。
関連記事「アウトスタンディングテクノロジー,世界初の商用可視光通信システムの量産を開始」「NTT,可視光通信を用いた超多チャンネル集音システムを開発」「カシオの可視光通信技術,スズキのコンセプトバイクに採用」