慶大,低解像度赤外線アレイセンサを用いた転倒検出システムを開発

慶応大学は,電子レンジやエアコンなどの高機能家電や,空調・照明制御などのオフィス省エネに用いられている,低解像度の赤外線アレイセンサを用いた行動識別システムの開発に成功した(ニュースリリース)。

内閣府の平成26年版高齢社会白書によると,日本の総人口の24.1%が高齢者(65歳以上)になっている。また,高齢者の事故の63%が家の中で起きている。独居老人が増えている現在,高齢者を見守ることが重要になっている。これまでにセンサを身につけるシステムや,カメラを用いた見守りシステムがあったが,装着の煩わしさやプライバシー侵害による心理的負担等が問題となっていた。

開発した行動識別システムは,カメラと違い画像を用いずに,低解像度の赤外線アレイセンサで得られる監視範囲の低解像度の温度分布に基づき,複数の行動を識別できる。センサ自体のサイズはL11.6mm × W 8.0mm × H 4.3mm と非常に小さく,設置スペースや設置時の見た目も問題にならない。検出性能として,例えば転倒を約97%という高精度で検出できることを確認している。

今回開発した,低解像度の赤外線アレイセンサを用いた行動識別システムによって,センサ装着の煩わしさや監視カメラによる心理的負担なしに,高齢者等の見守りが可能となる。現在,医学・工学・法学にわたる各企業および大学と共同で,実用化に向け,開発したシステムの有効性についての検証を行なっているという。

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