東工大,マイクロフォーカスX線CTによって多孔質内部の流動現象を可視化

東京工業大学のグループは,マイクロフォーカスX線CT装置を利用して,多孔質内部の流動現象を可視化する手法を開発した(ニュースリリース)。

多孔質内部における混相流は二酸化炭素地下貯留技術,原油回収,汚染土壌修復などさまざまな分野でみられる現象。しかしながら,土壌や岩石などの多孔質媒体は光学的に不透明であるために内部の可視化が容易ではなく,これまでの現象理解は多孔質を体積的に平均化した現象論的な範囲に限られていた。

近年,マイクロフォーカスX線CT装置の急激な発達により,多孔質内部の流動現象を空隙スケールで可視化することが可能になってきている。研究グループでは,X線CT装置内部で流動現象を再現できる実験装置を開発するとともに,X線CT画像において流動場を可視化するトレーサー手法を開発した。

これを用いることにより,油で満たされた多孔質に水が注入される際に,空隙のスロート部分に濡れ性により水が侵入し,油を連続相から切断することを示した。また,いったん油が切断されると,その周囲の水は急激によどみ,流動性が低下することを明らかにした。これらの情報は貯留層からの原油回収率向上のための指針を与えることができる。

開発した多孔質内部の流動現象の可視化手法は,多孔質媒体を扱うエネルギー環境分野の発展に貢献すると期待することができるとしいている。

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