産総研, 分子の長さがそろった 高分子標準物質を開発

産業技術総合研究所(産総研)は,人工的に作られた合成高分子であるにもかかわらず重合度が単一で分子量のばらつきがない認証標準物質を開発することに成功した(ニュースリリース)。

計測機器の計測値を標準物質に値付けされた分子量分布と比較するには,あらかじめ検出器の特性を調べておいて,分子量分布の計測値を補正する必要がある。産総研ではこの問題を解決するため,分子量をはじめとする各種物性値を,補正をせずに直接的に精密計測できる,分子量のばらつきがない標準物質の開発に取り組んできた。

ポリエチレングリコールは水溶性で,しかも経口摂取可能な数少ない合成高分子の一つとして,医薬品や生活用品など多方面で使用されている。近年はタンパク質などの改質剤やドラッグ・デリバリー・システムの基盤材料などとして,精密な分子量の制御が求められている素材であり,標準物質としてのニーズも高い。産総研は今回,単一の分子量を持つポリエチレングリコールの標準物質を開発した。

この標準物質の開発は,超臨界流体クロマトグラフィーを用いて,合成高分子の個々の分子を重合度ごとに分離する技術と,分離した単一重合度の高分子を効率よく採取する技術の確立により実現した。今回開発した標準物質には,高分子材料の精密な分子量測定やナノ粒子の粒子径の厳密な計測への貢献が期待される。

この認証標準物質「ポリエチレングリコール(23量体) 」[NMIJ CRM 5011-a]は,2014年7月23日より委託業者を通して頒布される。

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