科学技術・学術政策研究所,ポスドクは正規職への移行率が著しく低いという調査結果を発表

文部科学省 科学技術・学術政策研究所ではポストドクター(ポスドク)のキャリア形成について,同研究所が2009年に実施した「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査-大学・公的研究機関への全数調査」の個票データを用いて,正規職(常勤・任期無し)への移行に関する分析を行なった。

研究機関に在籍する「狭義」もポスドクの場合,将来のキャリアパスが不透明であり,任期を繰り返しつつ不安定な雇用のままで高齢化することが問題視されており,今回の研究はこの現状と要因を明らかにしようとするもの。

ポスドクは30~34歳で最も多く,博士課程修了後の年数は平均4~5年。正規職への移行率は博士課程修了後5~7年程度で最も多く,ポスドクというトレーニング期間を経て,任期の変わり目で移行するケースが多いことが明らかになった。

しかし平均移行率は6.3%と,一般大卒者の非正規職から正規職への移行率よりも著しく低い状況にある。特に女性,理学・医学系,競争的資金で雇用されている者の移行率が有意に低いことから,これらの状況を踏まえたうえで,任期の変わり目である5年目あたりまでに,安定した職に移行できるような支援が必要であることを指摘している。

また今後の課題として,今回のデータでは捕捉されていない有期の特任助教から正規職への移行についても検討する必要があるとしている。