NIMS,分子の自己組織化により1次元分子集合体の長さの制御に成功

物質・材料研究機構 先端的共通技術部門 高分子材料ユニットの研究者らは,分子が自発的に組織化し,1次元の分子集合体(超分子ポリマー)を形成する過程において,複数の異なる自己組織化が交錯する現象を発見。この現象を活用することによって,超分子ポリマーの長さを自在に制御することに成功した。

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分子が自発的に組織化する現象(自己組織化)は,高い機能を有する高分子「超分子ポリマー」を合成するためのきわめて重要なプロセス。しかし,この過程は自発的に進行してしまうため,意図的に制御することが難しかった。

通常,自己組織化では分子が分散した状態から組織化した状態へ,一つの経路をたどって収束する。研究グループは,今回,新しく合成した機能性分子について,2種類の自己組織化が影響を及ぼし合う現象を発見した。

さらに,この過程が従来の高分子合成におけるリビング重合と同様のメカニズムで進行していることつきとめ,更に,リビング重合と同様の手段を用いて,自己組織化で生成する超分子ポリマーの長さを自在に制御することに世界で初めて成功した。

自己組織化は,材料科学,ナノテクノロジー,バイオテクノロジーなど多岐にわたる学際分野できわめて重要な概念であり,物質の新たな合成手法として注目が高い。この研究は,材料設計においてもっとも根本的な構造要素である「長さ」の制御を可能としたもの。今後,自己組織化に基づく基礎・応用研究に新たな展開をもたらすことが期待される。

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