放医研、iPS細胞の点突然変異がiPS細胞への転換中に起こることをマウスの実験により発見

放射線医学総合研究所研究基盤センター元主任研究員 (現奈良女子大学)の杉浦真由美氏らの研究チームは、iPS細胞ゲノムに観察される点突然変異は、iPS化の過程の極初期に起きたものであることを発見した。これまでは、点突然変異のほとんどがiPS化する前の細胞に既に存在していたと考えられていたが、これを覆す結果。

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iPS細胞ゲノム(1細胞で約30億塩基対)には数百から1000か所程度の点突然変異が存在することが既に報告されていたが、これらの多くは、作成に用いた細胞に既に存在していたものという報告が続いていた。

研究グループは「iPS化が点突然変異を伴うのか?」という観点で、同じマウス系統からiPS細胞、及び同じ性質を有する幹細胞(ES細胞)を樹立し、最新の高速DNA塩基配列決定装置を用いて詳細な解析を行なった。

世界で初めてES細胞における点突然変異の数を明らかにした結果、iPS細胞は、ES細胞に比べ点突然変異の数が多いこと、更に、iPS細胞に見られた変異の質もES細胞のものと異なることが明らかになった。加えて、iPS細胞の細胞集団を1細胞毎に解析し、変異の履歴を追跡することにより、多くの点突然変異がiPS化の転換初期に生じていることも明らかにした。

この結果は、iPS細胞に生じる突然変異の発生メカニズムを理解する上で極めて重要な発見だとしている。

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