奈良女子大,次世代のバイオ燃料開発で注目されている微細藻の炭化水素細胞外蓄積過程を解明

奈良女子大学 研究院自然科学系教授の野口哲子氏らのグループは,脂質生産においてアブラナやアブラヤシなどの陸上植物の10~100倍以上もの生産効率があるため注目されている微細藻類のうち,特に光合成により多量の炭化水素を生産し,唯一生産した炭化水素を体外(細胞外)に蓄積する緑藻Botryococcus(ボトリオコッカス)における脂質の細胞内輸送・細胞外蓄積過程を電子顕微鏡観察により世界で初めて明らかにした。

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近年,Botryococcusの炭化水素生産に関する遺伝子レベル,分子レベルの解析は急速に進んだが,電子顕微鏡を用いた細胞微細構造レベルでの解析はこの30年間なされていない。これは,この藻の特徴である細胞外に多量に蓄積した炭化水素が電子顕微鏡の試料作製を妨げ,炭化水素蓄積の詳細な観察を困難にしてきたため。

研究グループは,従来の化学薬品を用いた細胞固定法ではなく,高圧急速凍結固定法(Leica 製加圧凍結装置;2100barの加圧下で液体窒素を噴射して生きた細胞を瞬時に凍結固定する)で電子顕微鏡試料を作製し,鮮明な電子顕微鏡像を得た。

脂質を特異的に染色する蛍光色素を用いた蛍光顕微鏡観察と電子顕微鏡観察により,炭化水素の生成時期と細胞外蓄積時期を解析した。更に,電子顕微鏡観察により脂質の細胞内輸送・細胞外蓄積過程を解析し,脂質合成は葉緑体で開始され,小胞体・リピッドボディを経て,細胞分裂後の細胞壁形成後・母胞壁崩壊前に細胞側底部から細胞外に分泌され,蓄積することを明らかにした。

今後,Botryococcusを利用したバイオ燃料生産系の構築により,原油等の化石燃料の使用が大幅に削減されることが期待されるほか,Botryococcusは高い光合成能を持つため,工場等から排出される二酸化炭素をBotryococcusに作用させることにより,新たな排出削減技術を確立できることが期待される。

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