京都大学化学研究所教授の山子 茂氏らの研究チームは、六個の炭素原子からなる「ベンゼン環」が三次元的につながった「ボール状」構造を持つ、新しい炭素ナノ構造体の化学合成に成功した。
六つの白金原子と四つのベンゼン単位との組み合わせにより正八面体構造を持つ白金錯体を「自己組織化」に類したプロセスにより生成した後で、白金原子を除去することにより、合成を達成した。さらに、基礎物性を測定した結果、この分子が有機ELや有機半導体などに用いられている電荷移動材料などに利用できる可能性を示したとともに、分子構造について、大型放射光施設SPring-8の単結晶構造解析ビームライン(BL02B1)を用いて決定した。
金属と配位子との「自己組織化」による炭素ナノ分子以外の三次元構造体の合成は多くの例があることから、この方法を応用することで、さまざまな新規三次元炭素ナノ分子の合成が可能になると期待される。また、新しい炭素ナノ構造体の創製研究のみならず、有機ナノエレクトロニクス材料へ大きなインパクトを持つものと期待される。
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