国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と大阪大学、科学技術振興機構(JST)は、抱き枕型の通信メディア「ハグビー®」を抱きながら通話するとストレスを軽減する効果があることを体内のホルモンの変化から明らかにした。
例えば、人が人とハグや他の接触行動をしたときのストレス軽減の効果が、ストレスを受けると分泌量が増加する「コルチゾール」というホルモンや心拍数の減少によって確認されている。同様の効果を人工的に作られたメディアが与えられるかどうか確認することは、新しい通信メディアの開発や既存の通信メディアの評価に重要だが、これまで触覚情報に注目したメディアとの接触体験が我々にどのような効果を及ぼすのかはアンケートなどの質問紙でのみ調査されており、生理的な効果については確認されていなかった。
今回の研究では、通話中にハグビーを抱きしめるだけでストレス軽減効果があることを明らかにした。実験では被験者を、ハグビーを抱きながら話をするグループと携帯電話で話をするグループに分け、会話前後での血液中、唾液中のコルチゾール濃度の変化を調べまた。その結果、ハグビーを抱きながら会話をしたグループでは血液中、唾液中ともに有意にコルチゾールが減少し、人との接触で見られるようなストレス軽減効果がハグビーのような人工的なメディアとの接触にもあることが分かった。
この結果や研究において使われたホルモンによる製品評価の方法は、既存の通信メディアの評価や人にやさしい通信メディアの開発に役立つと考えられる。またNTTデータ経営研究所が事務局を務める応用脳科学コンソーシアム内に「コンフォータブルブレイン研究会」を同社と共同で新たに発足し、複数の企業とホルモン検査の可能性について調査を開始した。この取り組みはホルモン検査による製品評価の恒常的なサービス体制の構築を目指す。
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