東京大学大学院農学生命科学研究科教授の東原和成氏らの研究グループは、ハーバード大学、アーヘン工科大学と共同で、性成熟前の2－3週令の幼少メスマウスの涙腺から、大人のオスマウスの交尾行動を抑制する幼少フェロモンが分泌されていることを発見した。

大人のオスマウスは、性成熟前の幼少メスマウスから、性成熟前であるという何らかの信号を受け取っているため、性行動が抑制されていると考えられる。

フェロモンは、ESP22という分子量約10kDa（キロダルトン）のタンパク質で、大人のオスマウスの鋤鼻（じょび）神経系で感知され、脳にその情報が伝わり、その結果、オスマウスの性行動が抑制される。

この研究の成果は、マウスの性行動の理解を深めるもので、倉庫や製造所などで問題になっているマウスの繁殖の制御に応用できる可能性が期待される（マウスにおける化学感覚と行動の分子神経基盤の理解を深めるものだが、ヒトでは鋤鼻器が機能していないため、直接、ヒトへの応用に結びつくものではない）。

詳しくはこちら。