産業技術総合研究所は,炭化ケイ素(SiC)半導体を用いて,16kVという超高耐電圧特性を持つ独自構造の絶縁ゲートバイポーラ・トランジスタ(IGBT)を開発した。
SiC半導体は,優れた物理的・化学的性質を持ち,シリコン(Si)半導体をしのぐ小型で損失の少ないパワーデバイスの実現が可能とされている。しかし,SiC-IGBT作製に必要なp型基板は,SiC基板としては品質が悪くデバイス作製には問題があった。今回,エピタキシャル成長によってp型基板層を作製するフリップ型の技術を用いるとともに,産総研独自の技術であるSiC基板のカーボン面を利用したIE構造を採用することで,スイッチングトランジスタとして10kV以上の超高耐電圧と低いオン抵抗の両立を図ることができた。
Siパワー半導体で到達できない10kV以上の耐電圧と低損失性を持つパワー半導体が開発されたことで,種々の電力ネットワークにおけるスイッチやトランスの半導体化,さらには次世代スマートグリッド構築を通した電力分野での省エネルギー化への道筋が示された。
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