京大、酵素のATP特異性の獲得メカニズムを解明

京都大学農学研究科助教の河井重幸氏、博士後期課程学生の中道優介氏、修士課程学生の吉岡彩氏、摂南大学理工学部教授(京都大学名誉教授)の村田幸作氏らのグループの研究は、酵素のATP(生物の普遍的なエネルギー担体)特異性の獲得メカニズムを発見した。

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細菌ATP-NADKとヒトATP-NADKの「違い」に着目した新薬(病原性細菌のATP-NADKのみに作用して細菌を殺す薬)の開発、「先祖返り」させたNADKと、リン酸分子が直鎖状あるいは環状に結合した高エネルギー化合物であるポリリン酸を用いたNADP生産法の開発が期待される。

この成果は、ポリリン酸そのものを利用する仕組みの解明にもつながる。この仕組みが分かれば、他の多くのATP依存酵素にポリリン酸利用能を与えて「先祖返り」させ、ポリリン酸を用いた多くの有用物質の生産も可能になる。

さらに、生化学エネルギー担体のポリリン酸からATPへの化学進化が「なぜ」起きたのか、その進化の生理的意義(病原性など各細菌の特性との関連)という問題に関しても解決の糸口を与える。

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