理研と慶大、思春期特発性側彎症の重症化に関連するゲノム領域を発見

理化学研究所と慶應義塾大学医学部整形外科脊椎外科研究グループは、思春期特発性側彎症(AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)の重症化に関連する新たなゲノム領域を発見した。

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側彎症は背骨が曲がる疾患で、多くは原因が特定できない特発性側彎症というタイプ。特発性側彎症の中で最も発症の頻度が高いのが、思春期に起きるAISで、全世界で人口の約2%にみられる。

日本人のAIS患者のうち側彎の角度が40度以上の重症群だけに限定し、対照者と合わせて約12,000人の集団について、ヒトのゲノム全体をカバーする55万個の一塩基多型(SNP)を2段階相関解析を用いて調べた。その結果、重症AISと非常に強い相関を示すSNPが17番染色体上に見つかった。このSNPとAISの相関は、中国人の集団を用いた同様な相関解析でも確認できた。SNPは、SOX9 、KCNJ2という遺伝子の近くに存在し、これら2つの遺伝子はいずれも、その症状に側彎症を含む骨系統疾患の原因遺伝子であることから、AISとの関連が強く示唆された。

この研究では、世界で初めてAISの重症化に関連するゲノム領域を発見した。今後、発見されたSNPとSOX9、KCNJ2との関連をさらに詳しく調べることで、分子レベルでAISの病態の理解が進み、新しいタイプの治療法の開発が期待できる。

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