情報通信研究機構(NICT)は、噴煙や雲の影響を受けることなく地表面を観測することができる、高分解能航空機搭載映像レーダ(略称: Pi-SAR2)の観測データの高速機上処理技術の開発を進めてきた。
NICTが開発したPi-SAR2は、Xバンドの電波を利用することにより噴煙の有無、天候、昼夜等に関係なく地表面を映像化することができる。また、Pi-SAR2は合成開口処理により、世界最高レベルの空間分解能(30cm)を有している。
しかしながら、機上ではスペースと電力の制約により観測データから地上の対象を詳細に識別できる偏波疑似カラー画像を作成することは困難だった。このため、観測画像を迅速に提供するためには、機上における高速画像処理を実現する必要があった。
NICTでは、Pi-SAR2による観測画像の迅速な提供を実現するため、CPUより10倍以上高速な演算能力を有するGPUを利用した高速機上画像化処理装置を開発,今回の爆発的噴火後(8月20日)の噴煙が立ち上る昭和火口とその周辺の地表面を上空約9,000 mから観測した観測データを機上で偏波疑似カラー画像化処理を行ない、商用通信衛星(インマルサット衛星)経由で地上に伝送することで、これまで観測後1日程度要していた偏波疑似カラー画像の提供時間を10分程度までの大幅な短縮を実証。地上に伝送された画像は、直ちに気象庁を通じて火山噴火予知連絡会等関係機関に提供された。
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