分子研ほか、分子性ゼロギャップ伝導体へのキャリア注入に成功

東邦大学、理化学研究所と分子科学研究所は、ゼロギャップ伝導体として世界で唯一、多層構造を有する分子性伝導体α-(BEDT-TTF)2I3へのキャリア注入に初めて成功し、特徴的な量子輸送現象を低温で実現した。

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これまで、この物質へのキャリア注入方法がまだ確立していないこと等から、分子性ゼロギャップ伝導体によるデバイスは実現困難であると考えられていたが、今回、研究チームは、プラスチック基板に厚さ100nm程度の薄片単結晶試料を固定するだけで正孔キャリアを注入することに初めて成功した。

低温で正孔は104 cm2/V.s以上の高い易動度をもち、この系に特徴的な量子ホール効果を観測することに成功した。これは、このデバイスが非常に良質であることを実証したことになる。

今回の成果は、分子性ゼロギャップ伝導体を用いた電子デバイス開発に向けた大きな第一歩。今後この成果を基にして、この系へのキャリア注入制御を確立することで新たな分子性電子デバイスの展開が期待できる。

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