阪大など、有害な壊れたリソソームを除去・修復する仕組みを発見

大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科教授の吉森 保氏とCREST研究員の前島郁子氏らの研究グループは、同医学系研究科准教授の猪阪善隆氏らとともにオートファジーにより、損傷を受けたリソソームが除去・修復されることを明らかにした。

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細胞の胃腸に当たる細胞内小器官リソソームは、様々な要因で穴が開くことがある。穴が開くと内部の消化酵素や活性酸素が流出し、細胞にとって有害な存在となる。研究グループは、この損傷リソソームを、細胞内の老廃物などを清掃するシステムであるオートファジーが感知し効率よく除去していることを発見した。

細胞あたりのリソソーム数は損傷のあるなしに関わらず常に一定で、損傷リソソームが除去されないと新しいリソソームが形成されず細胞の消化能力が低下してしまう。さらにマウスを用いた実験から、高尿酸血症で起こる腎症が、尿酸結晶で損傷したリソソームのオートファジーによる除去ができないと悪化することを見いだした。2型糖尿病、動脈硬化、痛風などの生活習慣病の発症因子にはリソソームに損傷を与えるものがあり、これらの疾患でオートファジーの低下が起こることが最近明らかになってきていることから、オートファジーを標的とした新規治療法の開発が期待される。

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