スタンレー電気は,透過率の高い窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板を採用した殺菌能力の高い265nmの波長で世界最高レベルの出力を実現した深紫外LEDの量産化技術を確立したと発表した(ニュースリリース)。
同社では,深紫外領域での吸収が少ないAlN基板を採用し,さらに基板裏面にフォトニック構造を構成したことで高い光取出し効率を実現することにより,殺菌能力の高い265nmの波長で世界最高レベルである50mWの出力を達成した深紫外LEDを実現させ,量産化技術を他社に先駆け確立した。
同社によると紫外線殺菌の世界市場は,深紫外の水銀ランプだけでも2020年には1,600億円程度の規模になると見込む。また,2013年に採択された水銀に関する水俣条約において,殺菌用水銀ランプは,製造,輸出入禁止製品の対象外となっているものの将来的には追加されることが予想されており,深紫外LEDに代わるとしている。
今回の技術により量産される深紫外LEDは,薬品で死なない耐塩素性菌(クリプトスポリジウム)に対して水銀ランプの波長より(253.7nm)殺菌効果が高いと言われている265nmの発光波長で世界最高レベルの出力を誇り,水や空気の殺菌市場におけるニーズに応えるとともに,既存の浄水設備の水銀ランプの代替を可能とするものだという。
製品形態としては,要望に応じてデバイスもしくはモジュールでの供給をしていく予定。今後も更なる高出力化を目指し,電子事業の一つの柱としてビジネスチャンスの拡大を図る。なお,この製品の量産開始は本年12月を予定している。